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​よくあるご質問

Q1.「完全に治る」ことはないのですか?

 

A1. 「完全に治る」患者さんは存在します。

 ただ何を持って「完全」か?には、様々な個人差があります。ちょっとくらい症状が残っても「全然大丈夫!」な方もおられますし、0.00001%の残遺症状が苦になる方もいらっしゃいます。

  一方で、ご本人は「もう大丈夫」と思っても、主治医からすると再発が心配な状況も往々にしてあります。

  もう治ったか、と思うとまたちょっとぶりかえしたり・・・ということも時々あります。虫歯のように、悪いところを取り除けば後はすっきり!という病気ばかりではありませんので、どこまで時間と労力をかけて病気と闘うか、いつまでお薬を飲み続けるかなど主治医と良く相談することが大事です。

 

Q2.どうして「かかりつけ医」の紹介状(診療情報提供書)が必要なのですか?

 

A2. 間違いのない診療(診断と治療)のためです。といって医療の不確実性は厳然と存在します。正確には、診断や治療における誤った判断に陥る可能性を極力減らすためです。

 当科の半数以上が、複数の病気をかかえておられたり、たくさんのお薬を常用されているご高齢の患者さんです。口の治療にも、持病の状態や常用薬などにいつも注意が必要なのです。

 歯・口のことは我々でもわかりますが、内科の病気など専門外の病気や治療状況(服薬状況)などの情報が足りないと、結局当科からお問い合わせして確認の上で治療開始となり、時間と労力のロスが生じます。

 「緑内障」や「前立腺肥大」あるいは「糖尿病」があると使えないお薬もありますので、眼科や泌尿器科のお病気も重要です。

 現在おかかりの精神科に内緒で受診される患者さんも時々おられます。しかし、病状や処方の兼ね合いから、当科でも主治医の先生とよくよくご相談してから、「何ができるかできないか」、の検討・対応となります。結局は初診時での判断・対応が遅れることになります。

 また副作用のチェックのために血液検査や心電図検査を定期的にお願いしたり、お口の症状が安定した後に、かかりつけの先生に継続処方をお願いできるケースもあり、かかりつけの先生からの紹介状にメリットはあってもデメリットはありません。

 

Q3.特効薬はないのですか?

 

A3. 特定のお薬を特効薬たらしめる方法はあります。しかし、いずれも歯痛止めや化膿止め(抗菌薬)のような「飲んですぐケロリ」といった効き方はしません。相手は単純な病気ではありません。症状とお薬は一対一対応するわけではなく、いくつかのお薬の組み合わせが必要な場合もしばしばあります。

 一方で「薬ばっかり」「薬漬け」になっても問題です。必要なお薬は使うにしてもなるべく「弱め、少なめ」で、できるだけシンプルな処方で治るのが理想です。最も効果が得られて、かつ副作用が最も少ないような「至適最小用量」の治療を心がけています。できれば「短期間で」治るとよいのですが、再発・再燃の問題(病状がぶり返すこと)もあり、良い状態を保てるようになってから慎重に減薬していきます。特にご高齢の患者さんが増えていますので、他のお薬との飲み合わせやお薬の選択・整理も非常に重要だと考えています。

 お薬の効果を最大現に引き出すためにも、きちんと服薬するだけでなく、睡眠や食事などの生活リズムを整えるなど基本的な“養生”も重要と考えています。何でもお任せ、だけで治る病気ばかりではありません。

  一方で簡単な検査でお薬が効きそうかどうかをを予測する研究も重ねています。

1.Watanabe T, Nagamine T, Mikuzuki L, Aota Y, Suga T, Trang T.H Tu, Kawasaki K, Shinohara Y, Takenoshita M, Toyofuku A. Changes in Corrected QT Interval may be associated with Clinical Responses in Burning Mouth Syndrome. Int Med J. 2019;26(1):13-14.

2.Watanabe T, Kawasaki K, Trang T.H Tu, Suga T, Sugawara S, Mikuzuki L, Miura A, Shinohara Y, Yoshikawa T, Takenoshita M, Toyofuku A, Nagamine T. The QTc shortening with amitriptyline may indicate treatment resistance in chronic nonorganic orofacial pain. Clin Neuropsychopharmacol Ther. 2018;9:7-9.

 

3.Watanabe T, Nagamine T, Mikuzuki L, Aota Y, Suga T, Trang T.H Tu, Takenoshita M, Toyofuku A. An increase in corrected QT interval may indicate a good clinical response to amitriptyline in female patients with burning mouth syndrome. Neurology and Neurobiology. 2018;1(1):1-3.

4.Kawasaki K, Nagamine T, Watanabe T, Suga T, Trang T.H Tu, Sugawara S, Mikuzuki L, Miura A, Shinohara Y, Yoshikawa T, Takenoshita M, Toyofuku A. An increase in salivary flow with amitriptyline may indicate treatment resistance in burning mouth syndrome. Asia Pac Psychiatry. 2018; Article DOI: 10.1111/appy.12315

5.Tu TTH, Miura A, Shinohara Y, Mikuzuki L, Kawasaki K, Sugawara S, Suga T, Watanabe T, Aota Y, Umezaki Y, Takenoshita M, Toyofuku A. Pharmacotherapeutic outcomes in atypical odontalgia: determinants of pain relief. J Pain Res. 2019
Feb 27;12:831-839. doi: 10.2147/JPR.S188362. eCollection 2019. 

 

6.​Shinohara Y, Umezaki Y, Minami I, Watanabe M, Miura A, Mikutsuki L, Kawasaki K, Sugawara S, Trang TTH, Suga T, Watanabe T, Yoshikawa T, Takenoshita M, Motomura H, Toyofuku A. Comorbid depressive disorders and left-side dominant
occlusal discomfort in patients with phantom bite syndrome. J Oral Rehabil. 2019  Aug 9. doi: 10.1111/joor.12872. [Epub ahead of print] PubMed PMID: 31398263.

 

7.Tu TTH, Takenoshita M, Matsuoka H, et al.: Current management strategies for the pain of elderly patients with burning mouth syndrome: a critical review. Biopsychosoc Med. 2019 ;13:1.
 

 

Q4.保険が効く薬と効かない薬があるのはどうしてですか?

 

A4. 歯科医療の大前提ですが、歯科医師が「歯科領域の疾患」を治療する際には、保険・自費診療に関わらす治療手段には制限はありません。よって歯科医療において「医師でないと使用してはいけないクスリ」などというものは存在しません。

 しかし、「保険適応の範囲」は、あくまでも保険診療行為を審査する人間の判断であって、医学的に妥当かどうかを保証するものではありません。東京都社会保険診療報酬支払基金審査委員会の見解では、「効能書き以外の使用は一切認めない」との判断だと“非公式の”懇談会で言われました。添付文書に、うつ状態や心身症の適応がある薬剤も「歯科の病名がない」などと詭弁を弄しました(うつ状態や心身症については、医科も歯科もありませんが、ご存じないようでした)。

 例えば「この“舌痛症”には、この抗うつ薬が効きそうだ」と我々が考えても、効能書き通りの「うつ病」じゃないから保険では認めない、という言い分です(となると、診療費が病院に支払われない=病院は赤字になる、ことになります)。

「歯科ではそうなんですか!?」と医師や薬剤師の先生方から驚かれますが、我々も随分審査側と折衝を重ねてきた結果がこうです。本来、保険審査は効能書きのみにとらわれず「学術的に誤り無く」が原則です。審査のあり方は地域差があり、他の都道府県ではこの限りではありません。

 このような経緯で、必要な人に必要な治療が提供できるようにするために、やむを得ず当科では大学本部からも承諾を得て、平成24年度より保険適応外処方を含んだ自由診療も導入しています。

 さらに平成29年1月からは当院の治験等審査委員会に、令和元年からは、特定機能病院に準じた医療安全管理体制の整備のため当院に新たに設置された、未承認新規医薬品等評価委員会(担当部門:医療安全管理室)にも処方状況を報告しています。2021年10月に歯学部病院は医学部病院と一体化され、東京医科歯科大学病院となりましたが、同院の未承認新規医薬品等評価委員会にも改めて必要な手続きを済ませています。

 

Q5.自由診療の治療費は、どのくらいかかりますか?

 

A5. 使用する薬剤や検査の多寡にも寄りますが、当科の場合は初診で2万円程度、再診で6千円から1万円前後というケースが多いです。

 原則として初回処方の1週間後、その後の数か月間は2週間おきに受診して頂いています。 

 満足に治るまで半年から1年通院したとして、総額で歯科インプラント1本分くらいで収まることが多いようです。

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